2010年4月14日水曜日

格安とモラル; 航空業界の話題

 NHKの夕方番組である首都圏ネットワークで、「日本の空・路線拡大続く格安航空会社の現状」として航空業界の話題が俎上に載せられた。

 海外の航空会社が格安の料金を武器に日本の旅行業界に進出しているという。
オーストラリア・ニュージーランドを拠点とするジェットスター航空では、一人分の料金で二人分の旅券を購入できるような破格のキャンペーンを実施するなど人気の様子。

・機内食/ドリンクは希望者のみ有料で提供
・業務範囲の拡大による?人員の削減?(詳細は聞き洩らしたが、一人でより多くの仕事量をこなすということだと思われた)
・着陸後の機体整備や清掃の時間を短縮することで、一機体当たりのフライト回数を増加
etc...

 合理化することで安価な料金での提供を可能としたことには見習うべき点もあろうけど、機体を遊ばせておく時間を切り詰めることは安全とのトレードオフになるのではないかという点が気がかりではある。つまり労働者の待遇や労働環境を締め付けているのではないかという懸念である。

 消費する側にとっては安ければ安いほど有難いけど、過剰な価格競争は消費者を傲慢にし、供給者の首を絞めることになると思う。消費者至上主義的な市場動向のひずみが表面化している分野の代表は、農家や漁業者など第一次産業に属する生産者だろう。
 
 とはいえ生活者としての僕は、スーパーに行けば商品の値札を見比べつつ売り場を行ったり来たりで、生産者のことよりも懐のことばかりを考えている。今ではどのスーパーでもトレーサビリティを意識して生産者の氏名や写真を添えてあるけれど、国産か否かの違いほどには作り手のことを考えてはいないのだ。

 その一方で理想家としての僕はテレビや本を前に生産者の身の上や国の行く末を案じもする。価格競争の熾烈さに眉を顰めはするけど、結局はそのことによって安穏とした生活を送れているのだろう。

 消費者のモラルを育てることも、適正な市場をつくり労働者の立場を改善することも、一朝一夕で解決できる問題ではないけれど、何か身近なところで関わりをもてないかとは思う。

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